銀行に融資を頼みに行くときの準備
お金が足りないのでお願いします!というのが現状かもしれませんが、必要なタイミングで、必要な融資を取り付けるのに「お願いします!」という姿勢だけでは難しいです。
物を発注するときを考えてみても必要品目、数量、納品日、決済条件などをきちんと伝えますよね。融資もそれと同じだと考えてください。
融資を依頼するときの7つの要素は次のようなものです。
1、融資希望金額
2、借入希望日
3、資金使途
4、希望返済期間
5、返済資源
6、保全
7、融資の効果
では、以下細かく見ていきましょう。
融資希望金額は少し下駄をはかせてお願いしておきます。
あくまで希望ですし、これが交渉のたたき台になりますから、削られるのを前提に希望を書きます。ただし、現実的な範囲で。
借入希望日も不測の事態に備えて多少余裕をもって書いておきます。
資金使途は機械の購入とか季節資金とか簡単かつ具体的に書きます。
また、資金使途違反は重大な契約違反です。事業用の機械の購入に充てるといって借りておきながら個人資産の購入に流れるなどということがあれば、それ以降の取引はほぼ不能になるくらいの認識が必要です。
希望返済期間もあえて長めに書いておきます。交渉のたたき台なので・・・。
返済原資。これは大切な項目です。足りないから借りるのですが、どうやってい返すか、を明記できなければ、そもそも経済的取引とは言えません。事業計画、資金繰り表などもセットで作成しておくことが必要ですし、そういうことができる会社でないと融資は困難になると思います。
保全。担保とか、保証人とか、ということですが、ここはあえて「なし」としておきましょう。
交渉に入る前から、「代表者保証」なんて書くと、「じゃあ奥様にも」なんてことになりかねません。
融資の効果。融資を受けることで、会社にどのような経済効果があるかということですが、機械への投資なら、それによる業績の変化や季節資金なら、それを受けることによる
季節的な売上増加への対応が可能になるといった融資を受けることでよくなることを書きます。これも事業計画などの資料とリンクする部分が多いと思います。
少なくともこのあたりのことを口頭でなく書面にして出せば、書類が足りないとか、稟議書が何度も差し戻しになるとか、そんなことでの時間のロスが軽減できるようになります。
最近は銀行や信金でも人員削減で人手不足です。キャリアのあるこなれた行員さんも減っています。融資の稟議を通すためにどんな資料が必要で、どういうことを書けばいいのか、そういう部分を会社側が補ってあげることが必要です。
昔はもっと融通が利いたのに、とか、こんなに「あれ持ってこいとか、何が足りない」とか
言われなかったのに、と愚痴っていても始まりません。
こんなふうに愚痴る前に、上記の7項目をまとめて書面で申し入れをしてみてください。
きっと、銀行融資がもっとスムーズになると思いますし融資を申し込まれる御社のお考えもきちんとまとまり一石二鳥です。
最近の銀行の考え方を知ってお付き合いをする
事業をして、銀行融資を受けておられれば、格付けという言葉を聞かれたことがあると思います。
金融機関は取引先を、貸付先として優良か、そうでないのか、というランク付けをしていますが、それが格付けです。
これまでは、財務内容や様々な要素をもとに金融機関がひそかに融資先の会社のランクを決めていて、そのランクに不相応な先に多額の融資をしていると、監督官庁である金融庁からおしかりを受けることになっていました。この「おしかり」は金融機関にとっては非常に怖いことです。
ですが、金融庁は27年4月、この「格付け」という考え方をガラリと変え、中小企業への融資に対する新たな指針を発表しています。
それがこちら「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」です。
この中に、これまでの考えと全く異なった文字があります。
成長可能性を重視した融資等の取組みに係る基本的考え方
格付けに従った慎重な融資から、成長可能性に融資せよリスクマネーを出せと言っているのです。これが同じ金融庁のお言葉とは思えませんが、これからは逆に、リスクマネーを出さなさすぎると金融庁に叱られるようになったわけです。
やる気はあるけど、財務体質が少し弱い企業にはこれは朗報です。また、既存の企業でも、格付けにとらわれず、新たな取り組み、新たな展開を認めてもらえるということです。
ただし、この様な融資を引き出すためには、事業計画、事業理念、資金繰り計画などを取りそろえ行き当たりばったりでない論理的な経営が求められていると思います。
さらに、この指針の中には、 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等が謳われています。すでにスタートしている経営者の個人保証を外す取り組みもさらなる推進を求められています。
金融機関の方針は、このような金融庁の指針によって大きく左右されます。
このような動向を知って動くことも融資を確実に引き出すための大切な要素ですね。