最近の銀行の考え方を知ってお付き合いをする
 事業をして、銀行融資を受けておられれば、格付けという言葉を聞かれたことがあると思います。
 金融機関は取引先を、貸付先として優良か、そうでないのか、というランク付けをしていますが、それが格付けです。
 これまでは、財務内容や様々な要素をもとに金融機関がひそかに融資先の会社のランクを決めていて、そのランクに不相応な先に多額の融資をしていると、監督官庁である金融庁からおしかりを受けることになっていました。この「おしかり」は金融機関にとっては非常に怖いことです。
 
 ですが、金融庁は27年4月、この「格付け」という考え方をガラリと変え、中小企業への融資に対する新たな指針を発表しています。
 それがこちら「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」です。
 この中に、これまでの考えと全く異なった文字があります。 
    成長可能性を重視した融資等の取組みに係る基本的考え方
 格付けに従った慎重な融資から、成長可能性に融資せよリスクマネーを出せと言っているのです。これが同じ金融庁のお言葉とは思えませんが、これからは逆に、リスクマネーを出さなさすぎると金融庁に叱られるようになったわけです。
 やる気はあるけど、財務体質が少し弱い企業にはこれは朗報です。また、既存の企業でも、格付けにとらわれず、新たな取り組み、新たな展開を認めてもらえるということです。
 
 ただし、この様な融資を引き出すためには、事業計画、事業理念、資金繰り計画などを取りそろえ行き当たりばったりでない論理的な経営が求められていると思います。
 
 さらに、この指針の中には、 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等が謳われています。すでにスタートしている経営者の個人保証を外す取り組みもさらなる推進を求められています。
 金融機関の方針は、このような金融庁の指針によって大きく左右されます。
 このような動向を知って動くことも融資を確実に引き出すための大切な要素ですね。