リバースチャージ方式をグーグルアドワーズを例に解説
27年10月から消費税にリバースチャージ方式が導入されます。
 
まず、アドワーズという取引について。
ネットのリスティングとかで勝手に画面に上がってくる広告がありますよね。
これを見た人は、興味があれば広告をクリックします。
リスティングに限ったことではありませんが
広告主はこのような仕組みの利用料をグーグルに対して支払います。
いわゆる事業用の広告宣伝費ですね。
 
グーグルは海外にある会社ですからグーグルアドワーズなる広告宣伝費には
消費税は不課税です。
 
これが、日本にある会社に対して支払うものなら消費税がかり
その消費税は広告主の仕入税額控除の対象となります。
 
グーグルアドワーズの引き落とし金額って、きっちり10万とか20万とかに
なっていませんか?
それに対し、日本の会社なら108,000円とかで請求されているでしょう。
 
それにしても、日本でクリックする・・・ということは変わりないのに
一方の会社には消費税がかかり、もう一方の会社には消費税がかからない。
これを問題視した国税庁は消費税に新しい課税方式を導入しました。
それがリバースチャージ方式です。
 
27年10月以降に利用したグーグルアドワーズにはこの方式が適用されます。
 
では、このリバースチャージ方式ってどういうものなんでしょう?
 
国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供(これを特定課税仕入れ
という)を受けた場合、サービスの受け手である国内事業者に消費税を課す
 
これが説明の文章なんですが
課税仕入れなのに、消費税も課税されるってどういうことよ?
ですが、まさに読んだ通りなのです。
仕訳で考えてみましょう。
 
9月までのグーグルアドワーズの仕訳は
広告宣伝費 100,000(不課税)/現金 100,000
でよかったのです。
 
10月以降は
広告宣伝費 100,000/現金100,000
仮払消費税  8,000/仮受消費税 8,000
と、両建てするようなイメージでしょうか。
会計ソフトによって表現の対応が違うかもしれませんが考え方としては
こんな感じです。
 
ですが、課税売上割合が95%以上の事業者なら消費税は全額控除できるので
広告宣伝費を課税標準(売上みたいに)として認識し、仮受消費税8,000を
払わないといけなくなりますが、仕入税額控除として8,000も全額認識しますから
結果的に仮受消費税 8,000/仮払消費税 8,000 となってしまいます。
 
そのため、条文でも、税売上割合95%以上の課税期間は当分の間、
特定課税仕入れはなかったものとして取り扱うとされていて、
消費税の両建てを認識してもしなくても結果的にはまずます変わらない
だろうという配慮からこの規定が置かれているものと思われます。
 
ですが、課税売上割合が95%未満の事業者の場合はそうはいきません。
 
課税売上割合が80%だと仮定すると、広告宣伝費が課税売上と非課税売上の
共通経費とすれば、控除できる仮払消費税は8,000×80%=6400円だけ
残りの1,600円は控除できません。
一方、仮受消費税8,000は全部納税します。
 
仮受消費税 8,000   /仮払消費税 8,000
雑損失 1,600      /未払消費税 1,600
(控除対象外消費税等)
となって、納税額1600円が発生するのです。
9月までならこんなことにはならなかったのに・・・です。
 
繰り返しになりますが、リバースチャージ方式は、10月以降の利用分からが
対象です。事業年度とは関係なくスタートしますのでご注意ください。